ギルガメッシュ叙事詩とは何か?4つの魅力でわかりやすく紹介!

世界には遥か昔から、数え切れない物語が伝えられてきました。
物語は、今も私たちにとって身近な存在です。
現在知られている中で最も古いと言われているのが、ギルガメッシュ叙事詩です。
ギルガメッシュ?聞いたことあるな。
バケオ
ゲームのキャラクターなら知ってるわ。強いんだけど性格に難があるのよ。
レベッカ
古い話だし、なんだかややこしいから知らなくていいや…というあなたに、今回はギルガメッシュ叙事詩をわかりやすく紹介していきます!
ギルガメッシュ叙事詩のわかりやすいあらすじ
ギルガメッシュ叙事詩は、ある王様が不老不死を求めて旅をする、長い長い物語。
その記録は、楔形文字で粘土板に残されていました。
それで、ギルガメッシュ叙事詩ってどういう話なの?
バケオ
半神半人の王、ギルガメッシュ
ヒトの王である父と女神の間に生まれたギルガメッシュ。
3分の2が神、3分の1が人間の半神半人で「強く見目良く賢い人」でした。
しかし、ライバルがいないせいか、次第に暴君として市民に恐れられる存在となってしまいます。
市民の祈りを聞いた女神は、泥をこねこね、エンキドゥという勇ましい野人を造りました。
「エンキドゥよ、あなたならギルガメッシュと戦えるわ。」
そう願いを込めて、女神はエンキドゥを野に放ちました。
戦友との出会い
野人の噂を聞いたギルガメッシュは、森に神聖な娼婦を送り、エンキドゥと関わらせました。
エンキドゥは人間を知ることで、自然からは孤立してしまいますが、代わりに人間らしいふるまいを覚えていきます。
ある日、娼婦からギルガメッシュの存在を伝えられたエンキドゥは、ギルガメッシュに戦いを挑むのです。
戦いの結果は、引き分け。
二人は互いの力を讃えあい、無二の親友となりました。
自然との対立
ある日、ギルガメッシュは「自然から人間を解放するために、杉の木を切り倒す!」と言い出し、エンキドゥを連れ出しました。
もとは森の住人であったエンキドゥや、国の長老たちは反対しましたが、ギルガメッシュを止めることはできませんでした。
森には恐ろしい怪物フンババがいて、杉の前に立ちはだかっていました。
守護神に助けられながら、二人はなんとか森の怪物フンババを倒し、杉を切ることに成功します。
女神イシュタルはギルガメッシュの雄姿に恋をして、アタックしますが振られてしまうのです。
怒ったイシュタルは地上に聖牛を放ち、無残にも罪のない人々を襲いました。
そんな中、ギルガメッシュとエンキドゥは牡牛を倒して、英雄として人々に讃えられたのでした。
不老不死を求めて
一件落着、かと思いきや。
森を壊し、聖牛を殺した罪を被ったエンキドゥは神の怒りに触れ、病に伏し、息を引き取ります。
大切な人を失くして、ショックから立ち直れないギルガメッシュ。
いずれ自分も迎える”死”に恐れたギルガメッシュが探し始めたのは、永遠の命。
長く暗い道を歩き、海を渡り、ついにギルガメッシュは不老不死を得たという男に出会いました。
男と船に乗り、話すうちに不老不死へのヒントを手に入れます。
「ようやく永遠の命を見つけた!」と思ったのも束の間…
なんという不運の連続でしょう。
不老不死のチャンスばかりではなく、海底で手に入れた若返りの薬草すら、手元には残らなかったのです。
悲しみに暮れながら、ギルガメッシュは自分の国へと帰り着いたのでした。
話の流れはこんな感じね。詳しくはぜひ本を読んで欲しいわ。
レベッカ
ギルガメッシュ叙事詩の気になるところ
そもそも、叙事詩とは?
英雄や民話、神話をテーマにした長いポエムのことを、叙事詩といいます。
韻を踏んでいるため、覚えやすく、また人に伝えやすい文章なのです。
お笑い芸人ジョイマンの「親切はだいじ、ニコラスはケイジ」といったフレーズも、思わず言いたくなりませんか?
韻律のなせるワザですね。
こうして叙事詩は多くの人に語り継がれていきました。
「日本には叙事詩が存在しない」と考える人もいるの。
レベッカ
和歌とはまた少し違うんだね!聴いてみたいなぁ。
バケオ
当時のことばを再現して、ギルガメッシュ叙事詩を音読した音声はこちらから聴くことができます!
(※外部リンクに移動します。)
ギルガメッシュ叙事詩の歴史?
ギルガメッシュ叙事詩が、粘土板にシュメール語で書かれたのは、今から4000年~5000年前だと言われています。
その後、アッカド語で3700年ほど前に加筆、修正されながら残されています。
1853年に楔形文字の解読・発掘作業が始まり、1930年には一冊の本として出版されました。
現存しているのは2000行程度ですが、壊れてしまっている所が多く、実際の文章は前後が繋がらないところも少なくありません。
そしてなんと!2011年に、イラクでギルガメッシュ叙事詩の新しい粘土板が見つかったのです。
そこには森の怪物フンババがエンキドゥと昔の知り合いであったことや、フンババが森の動物と音楽を楽しむ様子が描かれていました。
フンババが前よりイイヤツに思えてきた…。
バケオ
古代のお話なのに、今になって新しい文章が出てくるなんて、不思議な感じ。
レベッカ
ギルガメッシュは実在する?
ギルガメッシュ王は古代メソポタミアのシュメール王朝に名を残しています。
しかし、実在する英雄王を神のように讃えたのか、神を実在する人間のように描いたのかは、はっきりとわかっていません。
なにしろ、ギルガメッシュが実際にいた、という証拠がまだ見つかっていないのです。
物語の中と同じように、私たちの暮らす現実世界でも、ギルガメッシュは半神半人なのですね。
ギルガメッシュ叙事詩の魅力
粘土板によって受け継がれた物語・ギルガメッシュ叙事詩には様々な楽しみ方があります。
教訓として
ギルガメッシュ叙事詩は教訓の多い話です。
- 自然への反発
- 友情を通して成長する姿
- 不老不死
あらすじの中だけでも、上記のようなテーマが盛り込まれています。
今でも私たちの考えの中心となっている話題ですよね。
実際、メソポタミアの地層から花粉を調べてみると、ギルガメッシュ王の時代から杉が急激に減少していることがわかっています。
叙事詩は多くの人に問題意識を持たせる役割も担っている、ということですね。
また、ギルガメッシュに関わる人々はその都度、彼に助言を授けています。
永遠の命を求めるギルガメッシュに対して、「今ある人生を楽しみなさい」というように。
読み進めると、数千年の時を超えて自分自身に語り掛けられているような気持ちになるね。
バケオ
聖書の元ネタとして
不老不死を得た男は、永遠の命を受け取るまでの経緯をギルガメッシュに話します。
驚くべきことに、この男の話は、旧約聖書の『ノアの箱舟』と酷似する内容だったのです。
キリスト教徒やユダヤ教徒にとって、これは革命的な新事実でした。
なにしろ、自分たちの聖書は全ての根源ではない、とわかったのですから。
小さな発見から芋づる式に新しい発見が生まれ、常識が覆されてしまうなんて、考古学は奥深いですね。
ギルガメッシュ叙事詩がもののけ姫の元ネタだって言う人もいるわ。
レベッカ
未完成の作品として
2011年に新たな部分が見つかった粘土板。
ギルガメッシュ叙事詩が解読を始められた当時、世界中の人々が粘土板を発掘し、無断で持ち帰ってしまった人もいるようです。
ですので、今後さらに新しい文章が見つかる可能性は十分ありますし、ちっとも見つからないかもしれません。
今ある物語の空白を自分なりに補うと、物語は無限に広がっていきます。
現代語訳には、粘土板に書かれていた内容だけじゃなくて、訳者の推測や空欄がたくさん組み込まれているんだ!
バケオ
BLとして
ギルガメッシュとエンキドゥは深い友情に溢れており、その関係性は人々の心を捉えて離しません。
しかし、一部の人は新しい楽しみ方を見つけてしまいます。
「二人は親友よりもっと、深い絆で結ばれていたんじゃないの…?」
そう、ギルガメッシュとエンキドゥの間にはボーイズのラブが存在したのではないか、という見方です。
たしかに、女性関係にだらしなかったギルガメッシュはエンキドゥと交際するにつれて更生されていきますし、
いつもいつだって二人は一緒に行動していますし、
エンキドゥを失くしたときのギルガメッシュの悲しみようはあまりに強烈です。
ちなみに、エンキドゥの容姿は「女性のような毛髪で装われ…」と描写されています。
男性的なギルガメッシュと対比されているのでは、なんて、考えだしたら止まりません。
なんだか気になってきたわ。もう一回読んでみようかな。
レベッカ
まとめ
ギルガメッシュ叙事詩について、あらすじとその魅力について探ってきました。
まずは何も考えずにざっと読み、次は他の人の感想を聞いてから読むと、また新しい物語として楽しむことができます。
さすが世界最古のベストセラー、一冊を何度でも、それも毎回違った視点で読むことができますよ!
さて、あなたはどんな読み方をしますか?