桃太郎のその後って知ってる?ブラック桃太郎と興味深い後日談を紹介!

「桃太郎」という有名な童話は、皆さんも知っていますよね。
桃から生まれた桃太郎が、大人になって鬼退治へ行くという物語です。
この「桃太郎」の話が大衆へ広く知れ渡るようになった江戸時代よりもずっと昔の、紀元前3世紀頃に活躍していた吉備津彦命がモデルになっていると考えられています。
江戸時代に入ってからこの伝承を、絵入りにしたものが流行ったことで「桃太郎」として、不動の人気を持つようになりました。
「桃太郎・かちかち山・舌切りすずめ・さるかにがっせん・はなさか爺さん」これらを総称して5大おとぎ話と言います。
著者
しかし、ご存じだったでしょうか?
あまりに有名になってしまったため、桃太郎にはいくつかの説があるのです。
家来は実は虫だったとか、桃は実際には割ったわけじゃなく食べたとか、実は鬼退治じゃなくて婚活していたとかクスッと笑ってしまうような様々な説があるのです。
今で言う好きな漫画やアニメの主人公はあのヒロインと付き合っているだとか、違うあの敵だった女といつかはくっつくんだ!
みたいな自らの「推し」を主張・正当化する声が上がるのと似ています。
そもそもの話を知らない人は、結局本当の話がよく分からないまま間違った情報を手に入れている場合がありますよね。
江戸時代の人たちも、この話がよほど好きだったのか、人から人へ伝わっていくうちに話が盛られたり、変えられたりして書き残された結果いくつかの種類の違う「桃太郎」が全国的に出来上がりました。
しかも調べていて面白かったのが、桃太郎の人間性に難があるケースでした。
私はぜひ皆さんに紹介したいと思った二つの説、それぞれをイケメン桃太郎・ブラック桃太郎と命名いたしました。
今日はそれぞれのお話の説明と、それに続くであろうぴったりの後日談が見つかったので紹介していきたいと思います。
イケメン桃太郎(我々が良く知っている内容)のあらすじ
むかしむかし、おじいさんとおばあさんがいました。
おばあさんが川へ洗濯へ行くと、上流から大きな桃が流れてきました。
おばあさんは桃を抱えて家へ持ち帰り、おじいさんとその桃を割ってみる事にしました。
パッカーン!!
桃の中には元気な男の子が入っていたのです。
おじいさんと、おばあさんはそれはとてもビックリしましたが、桃から生まれたので「桃太郎」という名前を付けて大事に育てました。
すくすくと強く・たくましく育った桃太郎は、村に来ては悪さをする鬼を退治しようと決めました。
桃太郎は、おじいさんとおばあさんに言いました。
「僕、鬼が島へ行って鬼を退治してくるよ。」
二人は桃太郎の申し出を了承し、おばあさんは「きびだんご」を作って桃太郎へ持たせてあげました。
旅の途中、桃太郎はきびだんごをあげたお返しに仲間になってくれるという、犬・さる・キジをお供にしました。
鬼が島へ着いた桃太郎は、鬼を退治し村から奪った財宝や宝を取り返すことに成功!
無事お供の三匹と共に、おじいさん・おばあさんが待つ村へ帰りましたとさ。
これが現在、世間一般で受け入れられている桃太郎の昔話です。
イケメン桃太郎の3つのポイント
桃から生まれるなんて、すごいファンタジー!
桃から出てくるなんて普通の人離れした誕生の仕方で、すでに何か凄い話が始まるのではないかというワクワク感を与えてくれます。
他にも「竹取物語」でかぐや姫が、竹から生まれてきている昔話がありますが、こちらも現代まで広く知れ渡り好んで読まれています。
一般的な人が好む、理想的な男性に成長
ぐうたらで、情けなくて、長所はどこなのー?って人の話より、イケてる男性のサクセスストーリーの方が男女問わず興味ありますよね。少なからず面白い小説などを読んでいると、無意識に自分に重ねて考えてしまったりして楽しむ事があります。桃太郎の人気が定着したのも、一つこういう理由があったからではないでしょうか。
村の人を困らせている鬼を退治してくるなんて性格もグッド
イケてる上に、困っている村人を助けるなんて、どれだけイケメン度増量させれば気が済むんでしょう。
こんな男性と巡り合いたいわ!!
レベッカ
自分の身に降りかかるであろう危険を顧みず、人のために尽くす・・・・。女性ならキュンキュンしてしまうポイントですよね。
いかがですか。
みんなが知っている「桃太郎」のお話を簡単にまとめてみました。
とても読みやすく、きれいにまとまった良いお話だと思いますし、後世にもしっかりと残していかなければと思ってしまいますね。
次に、性格に難ありのブラック桃太郎について、説明していきたいと思います。
ブッラク桃太郎~ダークサイドに落ちてしまった桃太郎~
では、ダークサイドな世界へ足を踏み入れてしまった桃太郎についてポイントごとに説明していきたいと思います。
この物語でまず違うのは桃太郎の誕生の仕方です。
おばあさんが川で拾ってきた桃を、おじいさんと一緒に食べて若返ったというところから始まります。
若返ったおじいさんと、おばあさんの夫婦の間に桃太郎が誕生します。
ブラック桃太郎の4つのポイント
力が強くたくましいが、乱暴者に育ってしまった桃太郎
イケメン桃太郎とは雲泥の差があります。
やはり、何かから生まれないと普通の人感が拭いきれませんね。
こんな風に育ってしまったのは、桃から生まれた方の桃太郎への劣等感かもしれません。
ある日突然村には、何も迷惑を掛けていなかった鬼を倒しに行ってやろうと思いつく
こんな人いたら怖いよ~。
バケオ
考えている事が分からない上に、知り合いにこんな人いたら即縁切りするレベルの恐怖を感じますが、こうも考えられます。
ノーマル桃太郎の話を聞いた江戸時代の人が、自分とはあまりにもかけ離れた人物像に嫉妬し他の人に伝える際に話を変えて伝えていったのではないか。
それまでの話の桃太郎の性格上いきなり思いつくのも納得はいきますが、それにしても話が乱暴すぎるので誰か素人が話を盛ったのが定着したと考えるのが自然ではないでしょうか。
鬼が島で暴れまわり鬼を退治したうえ、鬼の財宝を奪う
何もしていない鬼たちを突然襲い、大事にしていた財宝や宝を奪う行為。
さっきまで理想の男性だったのに何があったのかしら?
レベッカ
多分筆者の作り話じゃないかな?
バケオ
これは、実際に語り継がれている桃太郎の諸説あるうちの一つに間違いなくありますし、さらにこの歌詞もこの説の信憑性を増す材料の一つになります。
♪もーもたろさんももたろさん、お腰につけた「きびだんご」一つわたしにくださいな♪
この童謡一度は歌ったことがありますよね。
この歌が後半に行くにつれ、どんどん内容が怖くなっていってるのはご存知ですか。
おもしろい おもしろい
のこらず鬼を攻めふせて
分捕物(ぶんどりもの)
をえんやらや
何の罪もない鬼を倒しながら「おもしろい」とは、正気の沙汰じゃありません。
かっこよかったイケメン桃太郎はどこへ消えてしまったのでしょうか。
鬼が島でやりたい放題
鬼を一通り倒した後、鬼が島の島内を観光したと伝えられている桃太郎。
乱暴なうえにその後島を観光して周るなんて、心臓から毛が生えているんですかね。
島内の鬼にとって桃太郎は仇以外の何物でもないのに、のんきに観光とは恐れ入ります。
想像以上だったブラック桃太郎いかがでしたでしょうか。
我々が聞いてきた昔話とは、全く違いとても恐ろしい話でしたね。
次は気になる、桃太郎のその後の話について書いていきます。
桃太郎のその後の話
鬼を退治しておじいさんおばあさんの元へ帰って来るというところまでは、大部分の人が知っている話ですよね。
江戸時代に絵入りの桃太郎が爆発的に流行った後、桃太郎のその後の物語がいくつか書かれています。
これも様々な種類があるのですが、先程紹介したイケメン桃太郎と手の施しようが無いブラック桃太郎を、きれいに完結させれそうな物語を2つ見つけましたのでそれぞれ紹介したいと思います。
イケメン桃太郎~桃太郎の婚活~
天明4年(1784年)に書かれたものです。
人が突然お金を持つとこうなる、という事がまず書かれています。
内容としてはこんな感じです。
宝を手に入れておじいさんおばあさんの元に帰ってきた桃太郎。
おじいさんもおばあさんも、無事帰ってきたことを大変喜んでくれました。
しかし、鬼たちから奪い返してきた宝で裕福になったおじいさん、おばあさんは激変してしまったのです。
おじいさんは奪った財宝や宝を見世物にした商売に没頭し、おばあさんも毎日のように遊びまわるようになりました。
そのことを憂いた桃太郎は、知人の「霊蔵」に頼み財宝をすべて偽物に作り替えるように依頼しました。
おじいさん、おばあさんは財宝が使い物にならなくなった事を悲しみましたが、再度鬼が島へ行くという桃太郎を意気揚々と送り出しました。
また財宝や宝を持って帰ってきてくれると思ったに違いありません。
しかし「鬼が島」へ向かう途中に知り合った遊女「その花」を気に入り、お嫁さんにすると決めた桃太郎。
残していた財宝で「その花」の嫁入り支度や、道具を買い揃えおじいさんたちの待つ村へ帰郷しました。
その後子供が生まれ、桃太郎の家はさらに栄える事になりました。
いかがでしたか、賢い桃太郎の策略によっておじいさんおばあさんも心を入れ替えたのでしょうか?
イケメンだった桃太郎はお金を持っても、ひけらかすことなく周りの状況をみて正すことで、さらに幸せになることができました。
ブラック桃太郎~純愛編~
次は凶悪極まりなかった、ブラック桃太郎の続きにぴったりのお話です。
元々のお話は、安永8年(1779年)に書かれている「桃太郎元服姿」という絵入りの文献です。
内容はこんな感じになっています。
桃太郎に仲間をやられ、財宝を取られた鬼たち。
残った青鬼と赤鬼は桃太郎への復讐のために、島で一番美しいと言われている「おきよ」を桃太郎の元へ向かわせます。
おきよの仕事は、桃太郎から盗まれた宝を取り返してくることです。
桃太郎の家に世話人として乗り込んだものの、桃太郎へ恋心を持ってしまった「おきよ」は桃太郎と結婚することになりました。
待てど暮らせど一向に戻ってこない「おきよ」にしびれを切らせた、青鬼と赤鬼が乗り込んできて状況を知られてしまいます。
鬼たちは激高し「おきよ」に詰め寄りました。
仲間たちから責め立てられ、桃太郎への想いも変えられない事に悩み苦しんだ挙句、「おきよ」は自らの命を絶ってしまいました。
大変悲しんだ桃太郎は、もう二度と鬼退治はしないと誓ったのでした。
手の施しようが無かったブラック桃太郎は、愛するものを失った辛さから二度と鬼退治をしないと誓ったのです。
こんな悲劇が起きる前に何とかならなかったのかと悔やむばかりですが、最後にブラック桃太郎の成長が描かれたことできれいにまとまりました。
以上、元々あったその後の話が最初に紹介したそれぞれの桃太郎のストーリーにしっくり続く事が分かったので、勝手に続きと紹介させていただいたのですがいかがでしたでしょうか。
江戸時代に生きた後日談の作者の方も、どちらの桃太郎を想像して後日談を書いたのか想像してみるととても楽しいですね。
まとめ
昔話や童話を大人になってから調べてみると、新しい発見が多いです。
実は桃太郎など他の童話は、現在も今の状況に合わせるように内容が少しづつ変わっているのです。
- お供の手下として描かれていた、さる・いぬ・きじは自分から一緒に行くよと提案(手下制度の廃止)
- 鬼が島までの、船旅中の漕番も交代制(平等の精神)
- 宝は鬼と仲直りし、鬼自身に直接返させる(道徳的)
このまま変化していくともっと未来の日本では、今よりもさらに多くの説が伝えられる事になりそうですね。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。